禁煙治療紹介
8.1 禁煙治療(薬物療法)
日本で使用できる禁煙補助薬にはOTC薬と処方薬があります。歯科ではOTC薬を用いた薬物療法が可能です。OTC薬にはニコチンパッチとニコチンガムがあり、処方薬には医療用ニコチンパッチとバレニクリン(非ニコチン製剤)があります。禁煙補助薬を用いた場合、自力禁煙と比較して3.6倍の禁煙継続効果があり、バレニクリンの使用は最も効果が高いと報告されています。
8.2 医師による禁煙治療の紹介
禁煙の意思がある患者さんは、一定の条件を満たせば、バレニクリンや医療用ニコチンパッチを用いた禁煙治療を受けることができます。この治療には健康保険が適用されます。受療の希望がある場合は禁煙治療を実施している医療機関を紹介します。
8.3 薬物療法
①OTC用ニコチンパッチと医療用ニコチンパッチの比較(表1)
OTC用 | 医療用 | |
---|---|---|
入手方法 | 薬局・薬店で購入 | 医師の処方 |
就寝時の使用 | なし | あり |
起床時に貼り | (24時間貼る) | |
就寝前にはがす | ||
高用量剤型 (21 mg ) | なし | あり |
使用期間 | 8週間 35 mg (6週間) 17.5 mg (2週間) |
8週間 52.5 mg (4週間) 35 mg (2週間) 17.5 mg (2週間) |
ニコチン依存度※ | 低~中依存の人向き | 中~高依存の人向き |
②OTC用ニコチンパッチとバレニクリンの比較(表2)
OTC用ニコチンパッチ | バレニクリン | |
---|---|---|
入手方法 | 薬局・薬店 | 医師の処方 |
薬の種類 | 皮膚の貼り薬(ニコチン製剤) | 飲み薬(非ニコチン製剤) |
ニコチン依存度 | 低~中依存の人向き | 中~高依存の人向き |
用法 | 1日1枚貼る | 食後に1錠服用する |
喫煙との併用 | なし | あり(禁煙開始前の1週間) |
使用期間 | 8週間 35 mg (6週間) 17.5 mg (2週間) |
12週間 第1週 0.5 mg 1日1回→1日2回 第2週~12週 1 mg 1日2回 |
③OTC用ニコチンパッチとニコチンガムの比較(表3)
OTC用ニコチンパッチ | ニコチンガム | |
---|---|---|
薬の種類 | 皮膚の貼り薬 | 口腔の貼り薬 |
急な喫煙欲求 | 対応不可 | 対応可 |
簡便性 | 貼るだけなので簡単 | 噛み方にコツがいる (正しい噛み方の指導が必要) |
副作用/注意点 | 皮膚のかゆみ,かぶれ | むかつき,のどの刺激 義歯にくっつく |
使用期間 | 8週間 35 mg (6週間) 17.5 mg (2週間) |
12週間 4週目まで 20本以下/日:4-6個/日 21-30本:6-9個/日 31本以上:9-12個/日 徐々に個数を減らす |
8.4 フォローアップ
①いつ-時期が全て
- 喫煙再開の大部分は禁煙開始後2週間以内に発生する
- 最初の再診-禁煙開始日から1週間以内にする
- 2回目の再診-1か月以内にする
②どのように-実践的方法を用いる
- 電話
- 受診
- 郵便/Eメール
③何を-フォローアップの際の行動
- 全ての患者
すでに経験した問題点と今後の問題解決の予測
患者に院外の社会支援の利用を念押し
薬物の使用と問題を評価
次回のフォローアップ調整 - 禁煙継続の患者
禁煙成功を褒める - 喫煙を再開した患者
喫煙再開を学習経験と捉えることの念を押す
喫煙再開の状況を振り返り、再度の挑戦を引き出す
もしできるなら、より強度の高い治療と繋げる
④フォローアップのヒント
- 簡単にすることを心がけること!
- このトピックに張り付くこと
- 誰といつフォローアップをするか、思い出しの道具を使う事
- 地域の禁煙サービスと禁煙治療提供者を知っておく事